新型コロナウイルス「新タイプ」というのはかなり盛ったミスリードニュースだった件

新タイプのウイルス、6月に突然出現…東京から感染拡大 : 医療・健康 : 読売新聞オンライン
※注 8/8記述の記事です

新しいタイプの遺伝子配列を持つ新型コロナウイルスが、6月以降全国に広がっているという分析結果を国立感染症研究所の研究チームが公表した

インフルエンザの変異型に相当するような新しいタイプの新型コロナウイルスなのかと思って論文を見てみました

新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2 (2020/7/16現在)

COV35

中国武漢を発端に、塩基変異を蓄積して生まれるウイルス株の親子関係を図示化した(2020年7月16日現在)。変異速度は24.1塩基変異/ゲノム/年(つまり、1年間で24.1箇所の変異が見込まれる)であると推定されている。3月中旬以降、欧州系統による全国同時多発のクラスター発生(右中央の●背景)し、その周りに1-2塩基変異を伴って地域特徴的なクラスターが部分的に発生したものの(オレンジ背景)、現場努力により収束へと転じ始めた。しかしながら、現在急速に増加している全国の陽性患者の多くが一つのゲノム・クラスターに集約されることが明らかになった(赤背景)。欧州系統(3月中旬)から6塩基変異あり、この3ヶ月間で明確なつなぎ役となる患者やクラスターはいまだ発見されておらず、空白リンクになっている。この⻑期間、特定の患者として顕在化せず保健所が探知しづらい対象(軽症者もしくは無症状陽性者)が感染リンクを静かにつないでいた可能性が残る

なんて書かれているのだけど、よく見てみると…

COV36
ど真ん中に、ちゃんとリンクはあるので、「約3か月6置換分の変異リンクが存在しない」というのは嘘で「約1か月半3置換分の変異リンクの存在が見つからなかった」というのが正しいと思います。
つまり、「6月に突然出現」ではなく、5月は少なすぎてサンプルがなかっただけです。

この1カ月半3置換分のリンクというのは4月末から6月頭までの非常に感染者数が少なかった時期なので、見つからないこと自体は当たり前ですし、新タイプと言っても、武漢で蔓延してたタイプと、日本で従来蔓延してたウイルスの違いよりも小さい差しかありません。

新しいタイプだから、抗体がはたらかなかったから蔓延したようなミスリードに繋げたいような意図を感じるニュースですが、実際は緊急事態宣言を出さなかったから感染が蔓延しただけで、病原性が変わったりする変異は確認されていないそうです。

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3件のフィードバック

  1. n より:

    黒翼猫さん
    ブログの日付は、八月ではないでしょうか?
    ひと月遅れの七月になっているように思います。
    ご確認ください。

  2. 黒翼猫 より:

    >>1
    だから記事内に注釈が入ってるじゃないですか・ω・

  3. n より:

    黒翼猫さん
    私の環境では、先頭の日付が以下のように、
    表示されています。(July,2020の第2金曜日?)

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