硫酸をこぼしたときの対象方法と希釈熱の話
硫酸に水をかけるとすごい発熱します。皮膚や服に硫酸がかかってしまったらすぐに乾いた布でできるだけふき取り、流し台などに張った多量の水につけて落としてください。くれぐれも水をぶっかけるみたいなことはしないでください。大火傷します。硫酸の希釈とかセンター試験にでても間違えないようにし |
問題になってる、硫酸がかかってしまった時の対処方法。
4つの問題点について考えてみましょう
・硫酸に水をかけるとすごい発熱する
・乾いた布でふき取る
・張った多量の水につけて落とす
・水をぶっかけるのはNGか
・硫酸に水をかけるとすごい発熱する
硫酸の希釈につ い て
実際の希釈熱はこんな感じ、グラフは、元の硫酸に半分の量の水を入れた時の温度上昇。
95%以上の濃硫酸の場合、煮沸の危険
75%以上の硫酸の場合、やけどの危険
がある事が分かる。
硫酸の希釈時に、水を先に入れて濃硫酸を希釈するのは、後から入れた水の方が沸点が低いため、煮沸して危険なため。
ただ、やや濃い硫酸であっても大量の流水であれば温度上昇は無視できます。
・乾いた布でふき取る
90%以上の硫酸を濃硫酸と言いますが、80%程度の硫酸であっても、布でふき取ると脱水作用が起こり、亜硫酸ガス(有毒ガス)が発生する可能性があります。燃焼して火災が発生することもあります。絶対にやってはダメです。
希硫酸の場合、机などにこぼした場合は布でふき取っても構いませんが、放置すると、水分が蒸発し、濃硫酸になります。そうすると、やはり脱水反応が起こり、火災の原因にもなります。
体に着いた場合、ふき取るという行為にあまり意味はありません。ふき取ってる時間があったら、水道までに走ってください。
・張った多量の水につけて落とす
ためた水で硫酸の付いたものを洗うと、その容器に入ってるものが希硫酸になります。
必ず、流水で洗ってください。
・水をぶっかけるのはNGか
漫画のようにバケツの水をぶっかけると患部が広がる可能性があるのでやってはいけませんが、バケツの水で軽く洗い流して水道まで走るのはありかなと思います。
結論。
・こぼした濃硫酸を布でふき取るのはNG →火災、有毒ガス
・こぼした希硫酸を布でふき取った後放置するのはNG →火災、有毒ガス
・体をに付着した硫酸を布でふき取るのはNG。
・水を計画性なくぶっかけるのはNG
・容器に張った水で洗うのはNG
・必ず大量の流水で流す
(・いきなり弱アルカリで中和するのはNG。中和熱と希釈熱で火傷します)
おまけ
・濃硫酸はコンクリート床や金属を腐食し、有機物の炭化が起きるから動かせるものは水洗いし、多量の水で希釈し、ゴム手袋をして拭きとるか、水で希釈し、重曹や石灰で中和後、拭きとる。
・濃硫酸が衣類に付着したときは、直ちに多量の水で洗い流し、希アンモニア水か1~2%の重曹(炭酸ナトリウムでも可)で中和後、さらに十分水洗いする。希硫酸の場合も時間がたつと濃縮され布地を侵すので、中和水洗する。(アンモニアは不適切だと思われる)
http://www.nagaokaut.ac.jp/j/gakubu/tebiki/syo5-3.pdf
化学系学部卒のひとです
この元ネタを創作した人物は、発煙硫酸や希釈で強い発熱が起こるような濃硫酸を実際に扱った経験はないと思われます。
上記のような濃硫酸は粘度の高いトロっとした重い液体で、衣類や皮膚に付着した場合は拭き取るなどという悠長なことをやってる余裕はありません。有機物等は化学的脱水で炭化して焦げ目になります。希釈熱による熱傷など問題になりません。
このような場合、いちもにもなく大量の水で洗い流すのが先で、実験室などでは、(古いですが)ひょうきん族の懺悔の部屋のごとく、ひもを引くと大量の水が降って来る緊急シャワーが設けられているのが普通です。
中和にアンモニアなんて使用しません。あれは虫刺されの患部のギ酸の中和に使用するもので、室内などでアンモニア水等を撒くと、濃度によりますが刺激臭があり吸入すると2次災害になります。
これ書いた奴はアンモニア水を使用した経験もないと思われます。
濃硫酸がこぼれてしまった場合は通常大量の水で希釈してから消石灰で、少量の場合は炭酸ナトリウム、重曹で中和するのが普通です。
以上、長文になりましたが、元ネタがあまりにもいい加減なので。