東洋経済のeLTAXの記事がこれじゃない感

税理士を経由した電子申告であればICカードリーダーは不要だが、個人で電子申告する場合は必須だ。
このICカードを取り扱うためのWebブラウザ向けの仕組みは、JavaかActiveXコントロールしかない。このため、eLTAXではJavaを採用していたのだろう。

日本の電子納税は「時代錯誤」になっている | 政策 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

Webブラウザ経由でのアクセスだとJavaとActiveXしかないのなら、アプリからWebサーバーにアクセスできるような仕組みにしてしまえばいいのである。

まぁ、それがPCDeskなのですが、こちらは .NET アプリになってるようです。

ブラウザからアクセスできるのって、プラットフォームに依存せず実行できるのが目的なので、ActiveXにしてしまうのなら、いっそ、Webブラウザ版は廃止してしまうのが筋だと思います

そもそも、ActiveXコントロールって管理者権限じゃないとインストールできないわけなんですから、もうそれだったら、アプリ入れちゃえばいいと思うんですけどね ・ω・;

Java で互換性高めるためのアップデートするならともかく、正直無駄な変更だと思いました。

これを変更せざるを得なくなった理由は、eLTAXのJavaアプレットが最新のJRE(Javaを動かすためのソフトウェア環境)に対応できなくなったからだ。

JREはセキュリティ問題への対応へのアップデートを繰り返しているが、最新JREでeLTAXの新規申し込み用アプレットが動作しなくなった。こ
のため、eLTAXの新規申し込みを行うために、わざわざセキュリティの脆弱性が明らかになっている古いバージョンに差し替えてから申し込みを行い、さら
に古いJREを削除した上で新しいものをインストールするという、驚くほど稚拙な対応を利用者に求めていた。

これは違うと思う。

最新のJREに対応できなくなったのではなく、ゼロディなどで更新のスパンが短くなったが、先行リリースの仕組みを知らなかったので、企業に対応する能力がなかったからというのが正しいだろう。

そして、気になるのは、Twitterで、「最新版だと動かないから旧バージョンにして申し込み、申し込み終わったらランタイムを最新版にしてくださいとか、意味不明なことを言われた」って人がいるだけで、お知らせには一切何もないことなんだよなぁ…。
『最新版で動かなかったら旧バージョンにして申し込み、申し込み終わったらランタイムを最新版にしてください』が正しいんじゃないかと思うんですが…。

だって、最新版でアプレットが動作しなくなったのは、Java 6u10で次世代Java Plugin機能 が実装されたときと、Java 8がリリースされたときのお知らせだけで、マイナーアップデートで、最新版にしたら動作しなくなったという事実はないはずなんだよなぁ…。

Javaのバージョンアップと対応のお知らせを時系列に並べてみた。

eLTAX | Java推奨環境の変更について
2015/11/16Java8u66リリース→2016/1/4 動作確認完了のおしらせ

eLTAX | Java推奨環境の変更について
2015/8/18 Java8u60リリース→11/2 動作確認完了のおしらせ(最新はJava8u66)

eLTAX | Javaのバージョンアップについて
2015/7/14 Java8u51リリース→7/31 動作確認完了のおしらせ

eLTAX | Java実行環境(JRE)構築手順書等の改版について
2015/4/14 Java8u45リリース→4/28 動作確認完了のおしらせ

eLTAX | Javaのバージョンアップについて
2015/1/20 Java7u75リリース→2/20 動作確認完了のおしらせ

eLTAX | 【利用届出(新規)を行う方へ】Javaのバージョンにご注意ください。
2014/03/12 Java SE Runtime Environment 7u51 推奨 (Java7u71と書いてるのは誤りで、最新版Javaはこの月にリリースされる当時話題になっていた Java 8のことだと思われる)

eLTAX | Javaのバージョンアップについてのお願い
2014/10/14 Java7u71リリース→12/22 動作確認完了のおしらせ

eLTAX | Windows8及びInternet Explorer10への対応について
2013/6/18 Java 7u25リリース→11/26  対応版リリース(最新は Java7u45)

eLTAX | Javaのバージョンアップについてのお願い
2012/4/26 Java 7u4リリース→2012/9/3 対応版(最新は Java 7u7)

昔は、最新バージョンのJavaリリースからそれで動作検証が終わるまで半年かかっていた。
多くの場合は、Java 6u10やJava 7u72 のようなの新機能追加がなければ動かなくなって大改修ということはほとんどないはずなのだが…。

お知らせでも、『以降の新しいシステムは、Java実行環境のバージョン「JRE* Update*」にて動作確認を行っております。 「JRE*
Update*」以降のバージョンでも支障なく動作するものと考えております』と書かれているように分かっていたことだと思う。

最近になってJavaのゼロディなどの問題で早期のアップデートが必要になり、検証が面倒になったのだろう。

本来は、開発者向けに、半年以上前からアップデート版が公開されているので、そちらで検証していれば問題ない。このプロジェクトに数億円かけているような大企業であるなら、たとえ有償でも 問題ないだろう
(実は以前はFTPで先行リリース版がダウンロードできるようになっていた)
それを知らなかったか、怠ったかのどちらかだと思う。

というわけで、分かんないのは

・なんで、JavaでNTTほどの大企業が前もって次に出るバージョンで検証するような努力をしなかったのか?
・互換性の高いJavaではなく、環境が限定される、Windows 10でもサポート非推奨のActiveXにしたのか(PCDeskは .Net 3.5アプリだったので、まだ Monoなどに転用できる可能性があり、汎用性が高いくらい)

私の中では、ActiveXにしたのは、2023年で完全終了する SilverLight採用したのに匹敵する出来事・ω・

JREはセキュリティ問題への対応へのアップデートを繰り返しているが、最新JREでeLTAXの新規申し込み用アプレットが動作しなくなった。このた
め、eLTAXの新規申し込みを行うために、わざわざセキュリティの脆弱性が明らかになっている古いバージョンに差し替えてから申し込みを行い、さらに古
いJREを削除した上で新しいものをインストールするという、驚くほど稚拙な対応を利用者に求めていた。

東洋経済の本田氏の記事はこうなってるが、
事実を見たうえで記事にした高木浩光先生とは違って、あの記事だけで記事にしてしまったように見える。

・Java 8u71が1/19、u73が2/5にリリースされたが、Java 環境の廃止が決まっていたため、工数を惜しんで、検証を行わなかったと思われる。(ActiveX版のマスターアップが 2015/1/27なので)
・『動かなかった場合は、推奨バージョン Java 8u66を使うように指示、推奨バージョンの古いJava を入れた場合は無効にするか、利用後アップグレードするように指示していた』が事実である。(ダウングレードはあくまで推奨であって強制ではないのがポイント)

で、新しいバージョンのJAVAを消してから古いのを入れて、使った後、新しいのを入れなおすという件について。
誰も、正しい方法を指摘していない
のが気になったので、別件で記事にします

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