【ニセ科学】水と配管と磁気処理機
配管の赤錆や匂いなどを防ぐための詐欺商法として疑惑があるのは磁気処理水以外にも、NMR工法、磁気装置 などがあります。
ニセ科学と断言して詐欺だとするサイトも多いのですが、水に磁界をかけて、防磁処理の効果を発揮するというということ自体を完全否定してしまうのは乱暴さを感じます。
磁気処理によって水が防錆効果を持つという論文はいくつもありますが、
詐欺などとされている磁気処理装置との違いを知ることが重要です。
磁気処理水による防錆 ・赤水防止効果
この論文では、水に磁気をかけることによって防錆効果が観察できたとしているが、
完全に防錆効果が発揮できたわけではなく、有意差が見られて、抑制が観察できたというレベルであることに注意してほしい。
論文内の考察でも、「磁気の持つエネルギーは水素結合などのエネルギーに比べると遙かに小さいものであり,磁化による水の性質の変化はほとんど期待できない。」とまとめている。
この磁化装置のパイプの太さは 径 7mm で使った磁石は 7500G (0.75mT)の磁石4個である。
流動水中の鉄腐食に及ぼす超電導マグネット磁気処理の影響
さらに類似した報告書を挙げる。
こちらは7Tの超電導マグネットを用いて 89mmの直径の内部にパイプを通して磁化を行なっている。
こちらも、ちゃんと効果は検証ができている。
水の磁化装置には2種類あって、
・配管に磁石を取り付けるだけのもの。(オンライン方式)
・配管を中継して装置を経由するもの。(インライン方式)
もちろん、配管の断面積が大きくなれば、磁界は分散され、効果は低下する。
なので、配管が太くなればなるほどオンライン方式では効果は低下します( ˘ω˘)
インライン方式:
ポーラー磁気式水処理装置|日本セルポ株式会社
オンライン方式:
【赤水対策・スケール対策に】磁気式水処理装置エコビームXL
ちょっとひどいと思ったのが、オンライン方式のエコビームという製品で
防錆効果を発揮させるために、配管に対して磁力線を垂直にかけなくてはいけないのですが、
周囲をぐるっと磁石で覆うと、どう考えても、磁石が有効的に水に対して磁力を発揮できてないことです。
一般的な磁気活水器の構造
調べてみたら、競合メーカーにそのことを触れてるメーカーがあった( ˘ω˘)
こっちのメーカーの製品がその問題を解決できてるという証拠はないけど、概ね、私の言いたかったことが図解されている。
なので、オンライン方式で、配管の太さに対していくつも磁石を取り付けて、その磁力線について説明がないものは、効果が発揮できずに詐欺に近い商品である。
Vol.12 No.4 442-450.pdf
この図を見てほしい。
高透磁率の導体のリングに磁界をかけた場合、シールド効果が発生し、管の内部にはほとんど磁界が発生しないことがわかる。つまり、鉄製の配管の場合オンライン方式だと効果は格段に落ちることになる。
まとめ:
・防錆効果は、磁化した水を閉鎖空間で循環させた場合に顕現するレベルでは実証されているので効果は完全にゼロではない。
・水の磁化の性質は10T(テスラ)程度の強力な磁力をかけると2時間程度メモリすることができるらしい(一般的なメンテナンスフリーの磁化水商法で使う磁石は 1/20程度)
・水の磁化はインラインであれば期待できるかもしれないがオンライン方式の場合効率が著しく落ちる。
・オンライン方式の水磁化装置を販売してるメーカーは磁石を無意味な取り付け方をしていることが多い。
・特に鉄製の配管の場合、オンライン方式の磁化装置は効果がほとんどない
Comments