3分の熱湯でできるインスタントラーメンを300度の熱湯に入れるとどうなるか

300℃の熱湯をカップ麺に注いだら1分で出来上がるよな? - ちゃんねるZ
古いネタで盛り上がったのでまとめてみます

1. 300度の熱湯の問題

沸騰水型軽水炉の原子炉内部では 7MPa の圧力をかけられた水が冷却水として循環しており、286度まで上がるらしい。
一方、加圧水型軽水炉の場合 6MPa の圧力をかけられた水が冷却水として循環しており、276度まで上がるらしい。
つまり、300度まで、水の温度を上げるためには、9.5M~10MPa 程度の圧力をかける必要がありそうだ ・ω・

ちなみに、家庭用の圧力釜の場合、2気圧迄かけることが可能で、その時の沸点が 121度とのこと。
1.3気圧までかけれるタイプだと 107度まで上がるそうだ。
科学実験に使う、オートクレーブなら 3気圧、140℃程度だったかな・ω・?

2. 温度を上げると、化学反応は早くなる!

アレニウスの式を使うと、化学反応の速度定数を求めることができます。
何で化学反応が関係あるのかって?調理は化学反応の一種だと考えればよいからです・ω・

式は k=A exp (-E / RT) [ k:反応速度定数 A:頻度因子(温度に無関係な定数) E:活性化エネルギー R:気体定数 T:温度 ] で表現できます。

それでは、インスタント麺の活性化エネルギーを求めてみましょう

CiNii Articles -  Studies on the Cooking-rate Equations of Udon, Somen, Soba and Chuka Soba
いい論文があった!

速度式に対する活性化エネルギーの値は,うどん,そーめん,そばおよび中華そばに対し,それぞれ約13,8,11および10kcal/g molとなった。これらの値は,前報において,スパゲティとひやむぎに対し得られた値9と11kcal/g molによく似た値である

というわけで、 10kcal /g mol を使わせてもらうことにした。
意外と活性エネルギーの値が小さいので、倍率も小さいようです・ω・

これを使って、95度のお湯との反応速度比を求めてみる

温度 反応速度 カップ麺ができる時間
80度 0.56倍 5分21秒
120度 2.39倍 1分15秒
140度 4.44倍 40.6秒
200度 20.8倍 8.6秒
300度 133.2倍 1.3秒

うどんですかい - Wikipedia
余談ですが、沸点が 85度程度の機内食として提供されている「うどんですかい」なる製品もあるそうです。

300度のお湯でラーメンを作ると 1.3秒で食べごろになる ・ω・!?

3. 超高温にした水はただの水ではないらしい

亜臨界・超臨界水とは - 堀久男研究室

亜臨界水の特徴は高いイオン積(Kw = [H+][OH-])を持つことです。イオン積とは、純水がどの程度水素イオンH+と水酸化物イオンOH-に解離しているかを示す尺度です。常温常圧の水のイオン積は10-14(mol/kg)2ですが、温度・圧力が高くなるとイオン積は増大し、250~300℃付近の高温高圧の液体では約1000倍の10-11 (mol/kg)2となります。このときのH+とOH-イオン濃度は室温の水の約30倍となるため、それ自身が酸やアルカリ触媒の働きをして加水分解反応を促進します

あー、なるほど。そういえば、水のイオン積って 25度って習いましたね。
それでは、温度でどのくらい変わるのか見て見ましょう

物性/水 イオン積
あー。100度でKw=-12、300度だとkW=-11程度になるんですね・ω・
マンガンが熱水には反応するのは、100度になると、pH6の酸とpH8のアルカリ両方の性質を持つようになるからなんですね!

亜臨界水ごみ処理法の原理
臨界水の酸化力がどの程度あるのか調べてみた所。
超臨界水の場合、タンパク質をアンモニアまで分解!
亜臨界水のばあい、タンパク質をアミノ酸にまで分解してしまうそうです。

つまり、300度の熱湯に通すと、カップ麺はアミノ酸の液体まで分解されてしまうということになります。 Σ (・ω・)

結論: 圧力釜を使って120度まで上げれば1分程度でカップ麺を食べごろに調理することができそうですが実験するには、加熱時間がネックになりそうです・ω・

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2件のフィードバック

  1. 紫苑 より:

    アミノ酸というか炭化して真っ黒スープになりそう…
    水蒸気なら炭化時間計算できそな論文ありました
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfe2000/8/1/8_1_39/_article/-char/ja/

  2. unset より:

    昔、アルキメンデスという、1分でできるカップメンが、
    熱くて、冷ましているうちに3分以上かかった覚えが・・・
    ましてや、300度のラーメン食べ頃の温度まで、
    冷ましているうちに、のびきってしまいそう

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