慣性モーメントから星の扁平率の理論値を求めてみる
高校で、太陽系惑星の扁平率の依存性を求めるという授業をやっていたというブログを見つけたので、興味深く読んで見たのだが、そこで、扁平率は 自転速度 / (密度 * 半径) * 定数 になるような結論になっていた。
試しにグラフを書いてみたのだが、かなり逸脱した値になってしまい、ブログの様にならない ・ω・
宇宙測地学研究室
と言う訳で、遠心力モーメントから扁平率の期待値を導くという講義のページを探して来た。
資料によると、扁平率 f は 5ω²R³ / 4GM で近似できるという
扁平率(実測) | 扁平率(期待値) | 理論比 | |
水星 | 0.0006 | 0.0000013 | 47352.2% |
金星 | 0.0002 | 0.0000001 | 261812.6% |
地球 | 0.0033528 | 0.0043276 | 77.5% |
火星 | 0.00589 | 0.0057519 | 102.4% |
木星 | 0.06487 | 0.1112767 | 58.3% |
土星 | 0.09798 | 0.1935831 | 50.6% |
天王星 | 0.0229 | 0.0369527 | 62.0% |
海王星 | 0.0171 | 0.0326273 | 52.4% |
冥王星 | 0.11 | 0.0002696 | 40800.1% |
太陽 | 0.000009 | 0.0000261 | 34.5% |
レグルス | 0.230769231 | 0.8008133 | 28.8% |
ベガ | 0.090909091 | 0.4846167 | 18.8% |
アルタイル | 0.180327869 | 0.2955518 | 61.0% |
早速表にしてみた
これをグラフにすると
こうなる。実測値が理論値の60%程度になっている星が多いのは、星の密度が一様ではなく、上層程密度が小さいかららしい。
水星・冥王星・金星が逸脱しているのは、惑星が小さいため、重力が小さくて変形しきれなかったか、後天的に外部天体の衝突を受けて自転速度が変わったり、衝突して変形したりしたからと考えられる。
約1時間で1回自転する褐色矮星が確認される。限界に近い自転速度か | sorae 宇宙へのポータルサイト
同じ方法で、J0348-6022、 J1219+3128、 J0407+1546 という高速回転する褐色矮星の扁平率も求めてみたところ、
0.206、0.162、0.102 となった。ちなみに、惑星最大の扁平率を持つ土星が 0.09798。
ちなみに、どうして、ブラックホールや、褐色矮星、白色矮星、中性子星などが高速回転しているかと言うと、星が急激に小さくなって重心が中心に移動したから回転運動エネルギーが、角速度に転換されたからですね。
スケートの選手が体を小さくすると高速回転するのと原理は同じです。
理論限界ギリギリの自転速度の星が沢山見つかってるのは、収縮に伴って、限界の自転速度を超えたため一部の星構成物質が、遠心力で飛び散ってしまった結果なのかもしれません。
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